お薦め度
★★★★☆
どんな人にお薦め?
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- ドロドロ系、イヤミス系のミステリーを読みたい気分の人
- ねずみ講にはまりかけている人。周囲にはまりかけている友人がいる人。
- 仕事の目的、生きる目的がよくわからなくなってきている人
- 老後の生きる目的が曖昧な人
感想
これはミステリー小説の分類になるのでしょうか。ミステリー系でよくある展開としては、時空を超えたり、話者を変えたり、といったトリックが良くありますが、本書は珍しく〇〇を超えたトリックでした(時空の一種?)。
僕個人の感想としては、最後のトリック明かしのところはあまり盛り上がらなかったというか、どちらかというと尻すぼみな印象を持ってしまったのですが、それを差し置いても、途中の話の展開はとてもドキドキして一気に読み切ってしまう小説でした。歌野晶午さんの小説は読みやすいしドキドキ読み進められるので好きです。
本質と少しずれるかもしれませんが、この小説を読んで一番印象に残っているのは、やっぱり詐欺やネズミ講や裏社会のやり口や、そこに嵌ってしまった人の辛さや底無し沼感です。このあたりの描写がとてもリアルで心の底から共鳴(同情?)して読んでいたからこそ、最後のトリックはやや気持ち悪さを感じたのかもしれません。
それでも、詐欺とかねずみ講は絶対にダメで、やっている人を心底軽蔑してしまう、というのが一番印象に残っています。
子供には少し刺激が強すぎるかもしれませんが、将来の進路を真剣に悩み始めた大学生くらいの年ごろの子供に読ませることで、間違った方向に進むことを未然に防止できるのではないかとも思います。将来何をしたいか、何を成し遂げたいか、人の為にどんな役に立ちたいか、そんなことを考えるきっかけを与えられるなと思っています。
勿論自分自身も、人を悪質にだますことは絶対に駄目(ある意味この小説には騙されているのだけど悪質ではありません)で、少なくとも自分や家族は正しく生きる、できれば人をだますような人を許さず、そのためにアクションを起こせるくらい強く生き、歳をとっても強く生きようと、そんなことを感じる一冊でした。
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カルボナーラ村長の読書備忘録