「360度カメラ=theta」は日本だけ
最近インスタやYou Tubeなどで少しづつ見かけることの多くなった360度カメラ。面白そうだから試してみたいけど、どれを買うか迷いますね。
日本で家電量販店に行って360度カメラを探すと、おそらくRICOHのtheta Vシリーズだけが置いてあるのではないでしょうか。なので360度カメラと言えば王道はthetaと感じる人も多いと思いますが、実はそうでもないのです。勿論、量販店で衝動買いをするのも良いと思いますが、他メーカーの商品とも比較したうえで納得して買いたい方はこのブログを参考にしてください。
Insta360 という選択肢
日本ではまだそんなに耳にすることは少ないかもしれませんが、360度カメラの世界シェアNo.1 はInsta360シリーズを出しているArashi Vision社です。このArashi Vision社は、中国のシリコンバレーと呼ばれる深圳に本拠を置く、ベンチャー企業です。
(余談ですが・・中国製ということで少し抵抗を感じる方もいるかもしれませんが、もうそんなことを言ってる場合ではありません。恐らくここ数年の間に、深圳から世界最先端の技術・商品がたくさん出てくると思われます。)
さて、Insta360の代表的製品はInsta360 one シリーズです。単機能の360度カメラとしては、Insta360はInsta360 one X、thetaはtheta Vが基本になります(2020年時点)。
まず、Insta360 one X と、theta Vを比較しましょう。
Insta360 one X vs theta V
まずは気になるスペックをまとめました。表には載せてないですが、サイズ感やデザインは似たり寄ったりです。個人的にはですが。
Insta360 one X |
theta V |
|
センサ | 1 / 2.3 | 1 / 2.3 |
レンズ口径 | F2.0 | F2.0 |
静止画 | 6080*3040 | 5376×2688 |
動画 | 5760*2880@30fps | 3840×1920/29.97fps |
バッテリー | 動画撮影:約60分 | 動画撮影:約80分 |
マイク | 2ch | 4ch |
記録媒体 | Micro-USB | 内蔵メモリー 約19GB |
手振れ | 6軸ジャイロスコープ | 3軸センサ |
シャッタースピード | 1/8000s-55s | 1/25000秒~1/8秒 |
撮影アプリ | バレットタイム ,ドリフトショット タイムシフト,AI追従等 | マルチブラケット撮影,天頂補正等 |
価格 | 約5.5万 | 約5.5万 |
表を見れば大体わかるかと思いますが、少しだけ補足しましょう。
まずは気になる画質。静止画、動画ともInsta360に軍配。特に動画は大きな差がついています。theta動画でも4Kあれば十分と思う人もいるかとは思いますが、忘れてならないのはこれは360度カメラであるということ。360度で4Kしかないと、スマホで見る分にはわからない程度ですが、PCで見ると少し粗さが気になるかと思います。ただし静止画については、Insta360の方が若干勝っているとはいえ、殆ど違いが判らない程度です。
一方で、thetaが圧倒的に優っているのは、シャッタースピードでしょう。動きの速い被写体をブレずに取りたい需要が大きい場合は、Insta360は少し物足りなく感じるかもしれません。また、マイクやバッテリーはthetaが少し優位です。
一方で、手振れ補正はInsta360の圧勝です。実際、Insta360の手振れ補正は感動的ですらあるレベルです。また、記憶媒体が外付けなことも、Insta360の強みでしょう。動画を撮る場合はthetaの19GBだと少し物足りないかもしれません。
次はソフト面。撮影時の操作性やスマホアプリとの通信は、同様です。Insta360はandroidアプリとの相性が悪いとか言った噂もありますが、おそらくアップデートを重ねてくれたことで、特に大きな不自由なく使えるレベルです。Insta360のキラーアプリとなりつつあるバレットタイムに加え、ドリフトショットなども1度は使ってみたくなるような魅力があります。
次に編集アプリ。操作性については好みが別れるかと思いますが、Insta360のAI追従はとても便利です。360度カメラの動画は編集が結構大変ですから。拘りたい場合は自分で編集すべきですが、大まかな部分はAIに任せるといった使い方ができます。
ここまでで、大体の人は以下の結論に辿り着くでしょう。
360度静止画だけに拘るならtheta V 、360度動画も撮りたければInsta360。
ちなみに動画と言っても、長くても数分くらいの動画を想定して書いています。ここでは割愛しますが、長時間の動画を撮影、共有しようとすると、今度はファイル種類(Insta360は.insp/.insvというファイル形式で保存される)が問題になってきます。それは別の記事を参考にしてください。
そして、ここで重要な話をします。「360度静止画だけならtheta」と書きましたが、Insta360はそこで黙っていませんでした。すなわち、Insta360 は、Insta360 one EVOという切り札を持っていました。Insta360 one EVOなら、なんと360度カメラと3Dカメラの両方の機能を備えているのです。せっかくレンズが二つついているんだから、3Dも撮っちゃえという素晴らしい発想です。
これはかなり魅力的です。勿論、一つにすることで幾つかのデメリットは出てきますが、それを補って余りある魅力があります。
そうなると先ほどの結論は、次のように変形します。
360度静止画だけに拘るならtheta V 、360度動画も撮りたければInsta360、だけど、”3Dカメラもちょっと試してみたい”ならInsta360 EVO。
Insta360 one EVO という選択肢
というわけで結論として、Insta360 one X と、RICOHのtheta Vで迷っている方には、「Insta360 EVO」の検討をお薦めします。(そう来るか!)
勿論、ハイブリッドにすることでのデメリットはあります。それぞれの使い方に応じて、メリットデメリットをしっかりと検討すべきです。詳しくは、one Xとone EVOの比較を中心に記事にしていますのでそちらもご参照ください。
Insta360 one XとInsta360 one EVOを比較してみた。
ちなみにthetaにもtheta Z1という切り札もあります。しかしそれに対しては、Insta360 Rという対抗馬がいます。Insta360Rの話になると、今度はあのGoProが対抗馬になってきたりします。この辺の関係を見るのも、各社の戦略が見えてきて楽しいです。