お薦め度

★★★☆☆

どんな人にお薦め？

- 失恋中の人
- 恋しすぎて失恋が怖い人
- 夫婦マンネリを感じている方

感想

とにかく恋に真っ直ぐな小説。
人間の内面や心の葛藤を描くことに長けた西加奈子さん。そんな西加奈子さんが恋愛について描くと、こんなにも切実で熱い感情の変化が激しい恋愛が描かれるのだなーというのが率直な感想です。
家族愛や親子愛といった小説が好みの子育て世代の私には、読んだ後に心温まる感じが比較的少なく若干の物足りなさは感じる部分もありましたが、たまにはこういう物語も良い心の運動になるのでは？！

結婚して数年経つと、恋情に燃えた若い頃の感情や悩みは忘れつつありますが、こんな気分だったかなという気になります。実際には西加奈子さんが描くほど熱すぎる恋をしていたわけではないと思いますが、多かれ少なかれこんな恋をして結婚をしたんだったったかなという気分にもなります。

だいぶ昔のことなので記憶が曖昧ですが、失恋中にこの本を読んでいたら結構勇気づけられていたような気がします。ですので、失恋中の人や誰かに恋い焦がれている人にはお薦めしたい一冊です。また、結婚して夫婦関係がマンネリ化している人も、昔の恋愛を思い出すきっかけになるかもしれないので、読んでみると気分転換になるかとも思います。恋愛感情を思い出して不倫の方向に走らないように気を付けていただきたいですが（笑）。

ゴリラ

不倫はやめておこう。

小説を通じて感じるメッセージ
さすが西加奈子さんなのですが、小説を通じてメッセージを感じます。（西加奈子さんの小説からはいつも何らかのメッセージを感じられるので読むのが楽しみです。）この物語だと、恋愛ストーリーに乗せて、「自分に正直に生きるべし」、「マイノリティを恐れるな」、「自分を理解したうえで自分の芯を持つべし」、といったメッセージが感じられます。

西加奈子さんの作品の中でも、ここまで恋愛に特化した小説は少ないんじゃないかと思いますが、他の小説とは少し毛色が異なる西加奈子さんの小説を読んでみるという目的だけでも読む価値があるかとも思います。是非、西加奈子さんのメッセージを感じながら読んでみてください★