お薦め度
★★★★☆
どんな人にお薦め?
-
- 人生について考えることに疲れた人
- 会社の奴隷のように働いている人
あらすじ
なんとスズメバチを主人公としてスズメバチの一生を描いた物語。
所属する帝国の繁栄の為に、恋もせず、子供も産まず、戦死としての使命を全うするスズメバチのマリアの生涯を、働きバチとしての本能と、それに相反する部分もあるマリア個人(個蜂?)の感性を絡めながら描く。同時に、ススメバチやミツバチといった虫たちの生態についても教えてくれる。
百田尚樹作だからか、スズメバチの行動や習性が、旧日本軍の行動と少し重ねて描かれているのかなという推測もしてしまうが、それは読む人次第。そういう見方も面白いし、特にそんなことは考えずに素直にスズメバチの気持ちになって読んでも面白いし、スズメバチの生態を学ぶという目的で読んでも十分に読み応えがある。
虫や動物の世界では、彼らの行動は“本能”という言葉で片づけられることが多いが、そう捉えてしまうことは、人間としての高慢であるなとも思う。虫や動物の“本能”と呼ばれる行動は、自分に与えられた使命や究極の目的を全うする“強い意志”ととらえると良いかと思う。
そういう風に捉えることで、日々見かける虫や動物がとても格好良く見えるし、とても尊敬する気分になる。そして、日々の生活がちょっとだけこれまでよりも充実した気分で過ごせるようになる。かもしれない。
また、自分自身の行動は、自分に与えられた使命や究極の目的を全うする“強い意志”なのか、という捉え方で自身を振り返るのも良いかと思う。そうすることで、自分が本当に必要なことをやっているのか否かを判断できるはずだ。そうでない場合はやめるという選択をすべき場合もあるだろう。
結局、虫も動物も人間も、自分に与えられた使命や究極の目的を全うする“強い意志”に従って行動している、または行動すべき、なんだろうなぁ。(詩を書きたくなる)