インドの社会課題がよくわかるボリウッド映画

ボリウッドとは、ムンバイの旧称「ボンベイ」の頭文字「ボ」と、「ハリウッド」を合わせてつけられたといわれるインド映画です。インドらしさ満点のダンスシーンがほぼ必ず登場することも有名ですが、社会課題に対して強烈なメッセージを発しつつ、人間味にあふれる感動的なストーリーがしっかりと構成されていることも特徴です。

そんなボリウッド映画の代表的作品を、どんな社会課題が描かれているかと共に紹介していきます。


ピザ!

インドの中でもスラム街の貧困問題にスポットを当てた映画。インドのスラム街に、母親と祖母と暮らす幼い兄弟二人。裸足にぼろぼろの服を着て、学校も行けず、カラスの卵を食べながらも、楽しく生活している。

そんな二人の住む取り残された街のすぐ近くに、ピザ屋が開店する。ピザに憧れた二人は、300ルピー(=約450円)のピザを食べるために必死で石炭を拾ってお金を貯める。しかし、なんとか300ルピーのお金が溜まって意気揚々とピザを買いに行くも、スラム街の子供が来たと追い返されてしまう。身なりが汚いことが原因と考えた二人は、また頑張ってお金を貯めて綺麗な服を手に入れて再度ピザ屋に向かうも、軽い暴力を受けながらまた追い返される。

その一部始終を、友達が冷やかしの為に撮影していたことで、話が大きく展開し始める。撮影動画を見た友達の父親は、その動画をゆすり材料としてピザ屋からお金を受け取ろうとする。取引自体はシンプルだが、スラム街の父親とピザ屋のオーナーの金銭感覚の違いから、色々な行き違いが生じる。最終的に二人の子供は念願のピザを食べることができるのか、、そんな映画である。

格差社会において、自分たちが貧困なことを知りつつも完全には格差や差別を受け入れ切っていない子供たち、貧困を完全に受け入れてその中で生きるしかないとあきらめている大人たち、その中でも何とか抜けだすチャンスを探している大人たち、裕福な暮らしをする中で貧困層のことをなんとも思っていない大人たち、様々な立場の人間の特徴的な考え方が、ピザを題材に見事に描かれている。

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P.K

宇宙人が地球に来て、地球人と恋に落ちるという、いかにもボリウッドらしい壮大な設定ですw

インドでこんなにも宗教を批判することがあるんだなぁという驚きがありましたが、宗教、特に導師達の腐敗や悪用は、インドで結構大きな社会問題になっているんだなぁということがわかります。「導師達は神と連絡をするにあたって、電話番号のかけ間違いをしているのだ」、という風に直接的な言葉ではなくやんわりと面白おかしく大事なメッセージを伝えてくれているのも好感が持てます。

また、宗教を中心とした社会問題だけでなく、宇宙人と地球人の恋と地球人同士の恋という2つの恋を通じて、人間臭さもしっかりと表現してくれています。2つの恋が良い感じに感動を呼びます。

宗教という社会課題に対して強烈なメッセージを伝えつつも、人間らしさのスポットを当てた感動もある、インド映画らしい、とても素敵な映画でした。

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ダンガル きっと、強くなる。

レスリングで世界一になるという夢に挫折した主人公。息子にその夢を託そうとするも授かった4人の子供がすべて娘だったため一度は夢を諦めるが、ふとした出来事から娘にレスリングの才能があることを見出し、娘2人にレスリングのスパルタ指導を行ってレスリング世界一の夢を娘に託すというストーリーです。

この映画が発信するインドの社会問題は、男女格差や女性軽視といった問題です。インドでは男女格差が非常に大きく、女性の地位が非常に低いため女性は社会進出せずに親が決めた結婚相手のもとに嫁いで家事をこなすことが当然という文化が根強く残っていることが、この映画を見るとよくわかります。そんな中、村の皆からの冷笑や蔑みを気にせず、女性だから、という前例にとらわれずに男性に交じってレスリングを鍛えていくという話です。

娘も最初はとても嫌がって反発したり、挫折を繰り返したりしますが、やがては父の本当の愛情に気付き、父と共に成長していきます。そんな親子愛がとても心に沁みます。

男女格差という社会課題に対して強烈なメッセージを伝えつつも、親子愛にスポットを当てた感動もある、こちらもインド映画らしい、とても素敵な映画でした。

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きっと、うまくいく。

これは絶対に外せないでしょう。インド屈指の難関工科大学に通う「劣等生」である仲良し3人組の悪ふざけを中心に、同じクラスの「優等生」、頭の固くて厳しい教授、主人公と恋に落ちる教授の娘などとのやり取りを面白おかしく描いています。

一方で、インドの社会課題である教育問題についての問題提起も映画の主題になっています。インドでは偏差値の高い大学(工科大学が好まれる)を優秀な成績で卒業して就職することが、安定した生活をするための条件であること、そこからドロップアウトするとたちまち困難な人生が待ち受けていること、そのプレッシャーや挫折から若者の自殺率が増えてしまっていることなどが、切実に伝わってきます。

また、学生の悪ふざけを中心に話を展開しつつも、友情や愛情や家族愛の素晴らしさ、自分の好きなことや自分の信念を信じることの大切さなどもしっかりと伝えてくれます。「All is well.」(きっと、うまくいく)と唱えること、信じることの大切さも伝えてくれます。

また、大学卒業後の10年後に皆が再会するシーンまでが描かれています。10年後に初めて知る驚愕の事実も含め、最後まで驚きあり感動ありの展開でとても面白くて素敵な作品でした。

ちなにみに大学生役を演じたアーミル・カーンさんは当時44歳。撮影期間中は肌をフレッシュにするため水を1日4リットル飲んで臨んでいたようですが、本当に若くて大学生にしか見えなかったですね。そんな俳優魂にも感服です。

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カルボナーラ村長の読書備忘録

投稿者: コロッケ太郎

妻と息子と3人暮らし。週末に家族で遊びに出かけることと子供の昼寝に付き添って小説を読むことと美味しいコロッケを探求することがささやかな楽しみ。