お薦め度
★★★★☆
感想
DX(Digital transformation)が叫ばれて久しいが、間違った使い方をされていることも多い。そもそも”正解”が何なのか誰もわからない状況ので間違ったも何もなく、解釈の仕方は自由という考え方も正しいとは思うが。
まぁ解釈の仕方は自由として、とりあえず、DXの”X”の由来だけは知っておいた方が良いだろう。transという単語は「変える」とか「交差する」とかいう意味を持ち、crossという単語と同義語である。そのcrossという単語は”X”と略されることが多いらしく、同じ意味のtransも”X”で代用されるようになったとのこと。だから、Digital transformationの中に”X”が全く含まれてないけど”DX”と表現されることが一般的になった。というからくりである。まぁ、どうでも良いのだけど、これすら知らない人は、たぶんDXをいわゆる”間違った”意味で捉えている、または何も考えずに使っている、という可能性が高いかもしれない。
ところで、”正しい”意味でのDXの雰囲気をつかむという意味では、僕はアフターデジタル(藤井保文)が手っ取り早くイメージをつかめる良書だと思う。(アフターデジタル2も出てるけど、まずは1だけでも読む価値があると思う)
アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る [ 藤井 保文 ] 価格:2,420円 |
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価格:2,420円 |
ただ単にデジタルにすれば良いということでなく、リアルとデジタルの境目がなくなるイメージ、いわゆるOMO(Online merges with offline)という考え方が、納得感を持って理解できる。
Onlineの技術・サービスが、Offlineのモノ・体験・カネ・人とのつながりといった要素の一部となり、価値を高める。Offlineの技術・サービスがいかに優れていても、Onlineの技術・サービスが時代遅れだと取り残される。逆に、Onlineの技術・サービスだけ磨いても肝心のOfflineの技術・サービスが今一だと誰も見向きしない。そんな世界が到来しつつあることが、中国の例からリアルな疑似体験を通じて実感することができる。
ITで世界に対して出遅れている日本が今後どう発展していくべきか、いや、逆に言うとOfflineでまだ少しでも世界に負けない優れた技術・サービスが残っている強みをどう活かして発展していくべきか。いずれにしろ、Onlineの技術を無視して生きていくことは絶対に出来ないし、逆に今更Onlineに特化した分野で世界をリードすることも出来ない、一方でOfflineのモノづくりやサービスという分野ではまだ強みを維持している分野が幾つか残っている、この状況をどういう戦略で生き残っていけるのか。
国が方針を示してくれることを期待する時代でもなく、国民一人一人がこのアフターデジタル時代をどう生きていくのか、日々考えて行動・業務を行っていくべきである。本書は、そんな思考のきっかけを与えてくれたり、思考を助けたりしてくれるだろうという意味で、お薦めしたい一冊である。
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