お薦め度
★☆☆☆☆
感想
マネーロンダリングや租税回避、やくざ、風俗、賄賂、政治といった裏社会の問題を、ちょこっと恋愛とか青春風のストーリーに交えて解説してくれる現実的フィクション。
法律ギリギリのところを攻めれば金なんていくらでも手に入る、というのは事実だろう。勿論、それ相応のリスクは付きまとうけれど。それでもお金を儲けることに憧れてその道を進みたいという人は、人の人生に迷惑を掛けない程度にその道を進めば良いと思う。どちらかというと純粋で阿呆な僕は、やっぱり温かい家族とか社会というのに魅力を感じるのでその道は選ばないけど。
今の時代、特にX世代に代表されるように、金儲けよりも社会貢献が重視されていると聞く。社会に何を与えられるか、Sustainableな社会を作れるかというPurposeが重視されると。素晴らしいことだと思う。そういう人たちの輪が広がっていくことで、住みやすい街、社会、国、地球が出来上がっていくという希望が持てる。
但し、そういう社会であればあるほど、良心的で前向きな人が多ければ多いほど、法律ギリギリのところを攻めれば金なんていくらでも手に入るという言葉がより現実味を持ち、正直者が馬鹿を見るという社会となり、悪循環に陥ることも考えられる。
そういう意味では、こういった裏社会の問題を明らかにし、問題提起してくれる本や映画はとても重要だと思う(この本からはそういった意図を感じられなかったが。やや美化されて書かれていたからだろうか。)
社会のルールを守らず、誰かの人生を犠牲にして自分だけが金儲けして良い思いをしようというのは、絶対にまかり通ってはいけない。だけど、そういう人たちがいないと上手く回らない社会、国家となっているのも事実。
真剣に裏社会の問題を知りたいというという考えは全く否定しないし、是非ともそういう機会も作った方が良いと思うけど、そういう意味でこの本はちょっと惜しいけどやっぱり期待外れ。マスコミや出版社には、そういった問題を美化せずに真摯に向き合い、世論に響くような形で問題提起してくれることを切に期待したい。(賛否両論あるけど全裸監督の方が裏社会の問題の焦点を当ててかつメッセージ性があった気がする。)
そういえば、今話題のSGDsの17項目にも裏社会問題は入っていないんだなぁ。なんでだろう。。
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