必読~新しい世界の資源地図(ダニエル・ヤーギン)の感想~

お薦め度

★★★★★

どんな人にお薦め?

    • 世界情勢を俯瞰的に知りたい人

あらすじと感想

日常の努力とは別の、多くの人には見えていない大きな力学によって世界は動いているというある種悲観的な仮説は、半分以上正しいと思っている。そんな力学の範疇で、パイの争奪やら技術的な改善やらを繰り返しているのが私を含む多くの一般人であると思っている。

そんな世界を動かす大きな力学の1つが、エネルギー資源であることは疑いの余地が無い。人間はエネルギー無しには生きていけない。

本書は、エネルギー資源に焦点を当て、米国、ロシア、中国、中東をめぐる動向や課題をわかりやすく示してくれる。米国に纏わるシェールオイルの話では、シェール革命の偉大さや影響力の大きさに気づかされる。旧ソ連に纏わる歴史や現状の話は、あたかも現代のロシアーウクライナ問題を予測していたかのような書きっぷりであり、ロシアーウクライナ問題の内実を垣間見えるようになるはずだ。中国や中東をめぐるエネルギーに関する課題は、近い将来に表面化する世界の対立や国家間の紛争が暗示されている気分になる。

日ごろのニュースに対して、一歩深く踏み込んで捉えることが出来るようになる一冊である。必読書と言えるだろう。蛇足だけど、国民の半分くらいがこのくらいの前提知識を有していたら、、とても住みやすく心地よい社会になるんだろうなぁ。イライラするようなワイドショー番組も減るんだろうなぁ。そんな社会に住んでみたいなぁ。

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投稿者: コロッケ太郎

妻と息子と3人暮らし。週末に家族で遊びに出かけることと子供の昼寝に付き添って小説を読むことと美味しいコロッケを探求することがささやかな楽しみ。